明日の君へ

虎狼の血で大ヒットを飛ばし、その後の続編や検察官のシリーズでもヒットを続ける柚月裕子さんの小説です。
家庭裁判所調査官見習いで配属された若者の奮闘を描く物語。
人生経験が少ないなぎらも最適解を見いだそうとする心、対象者を救おうと葛藤する姿が清々しい。
また、社会背景、問題が現代に即しており、深く考えさせられる。読者に、「あなたなら、どうする?」と問いかけてくるような錯覚を起こさせる。
検察官のシリーズでは、型破りの強気な検事であり、「慈雨」では、仕事一徹で定年退職した刑事など堅い信念をもった主人公である。この小説は、まだまだ発展途上にある社会人一年目の主人公が、迷いながら仕事に取り組んでゆく。凝り固まっていない分、一緒に考えて悩んでいる気にさせ、知らず知らず応援してしまう。読後感は良く、明日から良い生き方で社会と関わっていこうという気にさせる、オススメの本です。